まさひこくんのケーキ

小学校のクラスメートに まさひこくんという男の子がいました。

あれは 何の日だったのか・・・   
給食にケーキが出たことがあったのです。

それはそれは、みんなうれしそう。
楽しくおしゃべりしながら、誰もが食べている時に、まさひこくんがケーキに手を付けていない事に気がつきました。

「嫌いなのかな?・・」

結局、彼は食べませんでした。
そして、うちに持ち帰った。
しばらくして、知りました。
まさひこくんには 寝たきりの弟がいたのでした。そして、ほとんど家から出たことがないようでした。ケーキは その弟へのおみやげだったのです。

まさひこくんは、勉強が得意とかスポーツで抜きん出ているという子ではなかったと思います。どちらかといえば、静かで目立たないほう。

でも「すごいなぁ、まさひこくんって」

このことは、わたしの ”子ども心” にくっきりと刻まれました。